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ハマでは新機軸のジュリアン

サカナクション全曲レビュー(A)

Base Ball Bearの全曲レビューをした際に1番よく出てきた単語、それは「サカナクション」でした、多分。

 

こちらからご覧ください

 

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Base Ball Bearサカナクションは、すごく近い、というか鏡みたいな感じだと思いますね。

もっとも大きな軸が

 

ナンバガスーパーカーの流れを汲みつつ、ギターによってダンスミュージックもポップスも鳴らすBase Ball Bear

・ダンスミュージックを取り入れ、シンセを使いバンドサウンドを鳴らすサカナクション

 

 

ということ。

 

他にもベボベ=夏の日差し、サカナ=冬の夜、みたいなアイコン性とか、逆にベースが女性とか女声混成バンドだったりの共通点とか…

 

 

というわけで、Base Ball Bear全曲レビューに続いて、サカナクション全曲レビューを行いたいと思います。

 

 

意外に当時のレビューやインタビューがネットにあるので、そちらも参照にしつつ…

新作も含め、もちろんシングルのカップリングやリミックスもレビューしたいと思います、思ってますけど勉強しながらなのでご容赦ください。今回は北海道時代のアルバム2枚。

 

『GO TO THE FUTURE』

1.「三日月サンセット」

この時期の音源に関しては「サカナクション結成以前=前身バンド"ダッチマン"時代」「ダッチマン活動終了→山口岩寺によるサカナクション時代」「サポートの草刈岡崎江島が正式加入した5人組のサカナクション時代」と、正直複雑極まりない状況でして。

例えばこれは、ダッチマン時代からある曲であり、アルバムリリース以前からメディアに出ていた曲でもありますね。

2.「インナーワールド」

イントロにあるギターのリフ、フェイザーかなんかのエフェクトがかかっててシュワシュワしたうねりがかかってるんですけど、「三日月サンセット」を含め未だにライブ演奏で良く使われてる音の作りですね。
3.「あめふら」

今の5人のサカナクションになって最初の曲、とのこと。

江島さんが、加入当時はあまりダンスミュージックのリズムの取り方をわかってなかったらしいってのは結構あちこちでされてる話で、この時期は「バンドサウンドに電子音が乗っかってる」みたいな構造がよくあります

4.「GO TO THE FUTURE」

サカナクションの音楽的な特徴を挙げるとすれば、僕は「ヨナ抜き音階」だと思ったんですね。それも、この曲みたいなちょっとオリエンタルな雰囲気がYMOとかのテクノの流れを感じる、という形の。

ヨナ抜き、って「和っぽい」「J-POPの秘訣」っていう表現もありますけど一方では中国の音階でもあるんですよね。
5.「フクロウ」

聴き始めの頃、よくわからない歌詞だなあと思ったらアドリブだそうです、ええ…

山口岩寺の2人組での活動は、DJ+ギターでギターはほぼアドリブだったそうです

6.「開花」

大方バンドサウンドで出来上がってる曲、こっちはむしろストレートなギターロックに草刈さんのベースがグルーブ感を与えてる、というのがあって軸足がダンスミュージックじゃないところにあるのかなと。
7.「白波トップウォーター

この曲は、始めはミニマルな雰囲気で1番のサビまで進んで、そのあと2番に入るとキメの作り方とか盛り上がりの作りが完全にバンドサウンドのそれに変わる構造になってて、一郎さんのボーカルにその違いが顕著に出てますね。
8.「夜の東側」

星野源さんとやってたUSTREAMの番組で弾き語りしてたのがすごく良かったのが記憶にあります。全く電子音とか空間系のギターのエフェクトがなくても、歌詞とコード感とメロディーラインときちんと成立してる。

 

 

 

『NIGHT FISHING』

1.「ワード」

作詞家としての一郎さんは、韻を踏むどころか完全に同じワードの繰り返しにしたり1、2番の歌詞が完全に同じだったりが特徴。あと、同じ世代だとベボベ小出さんはむしろ細かい心理描写とか情景を描くのが得意なんですけど、一郎さんは心情を描くにしてもかなり抽象的な歌詞が多いですね。
2.「サンプル」

この曲は「ダッチマン時代」からある曲で、サカナ版になってからシンセフル活用って感じです。最近のライブでの演奏、特にTDCホールのライブでやってたような徐々に音が増えてくアレンジは、この時期の音源に近い印象です。
3.「ナイトフィッシングイズグッド」

めっちゃ長い、けどずっとやってて聴いてるから慣れてるという印象なんですけど最初はやっぱり周囲の評判は「サンプルをリード曲に」だったようですね。

あとクイーン「ボヘミアンラプソディー」の流れなんて以前に、女声混成バンドの中で、歌い方やメロディの組み立てとして合唱を取り入れたの全然いないですよね。
4.「雨は気まぐれ」

すごく好きな曲です。

ギター主体のバンドにキーボードが一パートとして加わってるのはよくみるんですけど、楽器使ってダンスミュージックそのものを演奏するって言う取り組みは、特にこの時期は他にやってる人少なかった。ドーパンとか電話ズは、まだちょっと文脈違う気もするし…
5.「マレーシア32」

そして、特徴的なインスト曲ですよね、このアルバム唯一「作曲:サカナクション」です。

この頃の方がむしろバンドとクラブの融合体みたいな感じはしますよね。時期的にも、ラップトップで演奏したことはないはず。

6.「うねり」

アルバム一枚に一曲はこれ見たいなスロウな曲が入ってるんですけど、シンセ使った浮遊感のあるサウンドの曲はこっからじゃないかな。

あと、メトロノームの音が入ってるのはこれだけ
7.「ティーンエイジ」

江島さんのドラムが炸裂しまくってる曲で、「白波〜」みたいに、ミニマルなビートからどんどん曲が熱量を帯びていく展開ですね。

あと、コーラスは意外に普通の歌い方。

8.「哀愁トレイン」

これ今シングルででたら結構アツくないですか?実は「アイデンティティ」とか「Aoi」とかの流れの源流だと思うんですけどこれ。

9.「新しい世界」

Aメロ、Bメロ、サビ、全部バラバラみたいな曲で、特にリズムに関してはまるっきり別曲な勢いなんですけど、そこは「フォーク」という共通言語でまとまってるようですね。それぞれのパートも、サビはマイナーコード入ってるけど、全体的にはかなりシンプルなコード進行だし。
10.「アムスフィッシュ」

アムステルダム」、なんか意味あるのかなって思ったら「自然に出てきた」らしいです

でもアムステルダムって運河があって海も近くて、それこそ一郎さんの故郷である小樽を思わせるものが、どっかにあるかもですね。

 

 『「NIGHT FISHING IS GOOD」TOUR 2008 in SAPPORO』

2008年3月8日、札幌のPENNY LANE24のライブ音源です、iTunesでは当時コールドプレイを抜いてランキング一位取ったらしいんですけど、全く知らなかったしApple Musicで聞けないしなので割愛。

 

『REMIXion』

1.「三日月サンセット(FPM EVERLUST MIX)」

Fantastic Plastic Machineの田中さんによるリミックス、サカナのリミックスベストにも田中さんのアルバムにも収録されてます。

「繰り返す」を繰り返すのはあれですね、「ポリリズム」ですね(ちょっとまて)

2.「サンプル(cosmic version)」

 こちらは札幌を拠点に活動しているDJのKuniyuki Takahashiさんのリミックス

ギターのリフを生かしつつ、より宇宙感がアップしてます。

 

 

まとめ

初期の北海道時代、特徴的なのは「フォークソング」ってとこかなあって。

ただし、曲を聴いてて素直に「一郎さんの心情」がわかるか、と言えばとっても難しいんです

一郎さんの歌詞の特徴って、心のありのままを表現してるんですけど、「こういうことがあってこう思った」とか「こうしたい」みたいなのが控えめです。でも、目に見えてる景色とかははっきりするんですよね。絵画的というか。

他の人で言えばベボベ小出さんとかは聴いてて何時何分のどこにいる、みたいな情景が浮かぶしすごく物語的だなとか。

 

ざっくりまとめましたが、ひとまず今日は初期のサウンドと歌詞についての特徴、ってことで。

 

次回は東京進出から、「アルクアラウンド」「アイデンティティ」「ルーキー」のあたりの話になるはず。