心の穴が出来て思うこと
一言で言うなら、今の気分はただただシンプルに虚しいです。
多分、きちんと作品や音源等を追いかけて、ファンだなあとしっかり認識出来る人間の逮捕は、思い返せる限り初めてだとおもいます。電気グルーヴを見にCDJやビバラにいった過去もありますし。
強いて言えば、ベボベの湯浅さんの一件と同じくらい、いやそれ以上に心にぽっかり穴が空いた気分です。
音楽業界において、特にクラブミュージックの業界においてドラッグと言うものはかなり密接な関係にあるのがわかるし、それを表すように、これまでもテレビなどメジャーな世界で活動しているミュージシャンの薬物による逮捕は国内外問わず数多くありました。
ただ一方で、アンダーグラウンドな雰囲気を限りなく少なくし、実際にクラブに足を運ばずとも雰囲気を味わえ、メジャーな物しか視界に入らない田舎者の僕が「クラブミュージック」と言う存在そのものを好きになるきっかけの1つが、僕にとっての電気グルーヴでした。
ドラッグという禁忌とされているものと密接な関係にある世界にいながら、ドラッグから距離を置きつつも真髄をしっかり味わえる。
それが、例えばYMOや小室哲哉さん、中田ヤスタカさんにtofubeatsさん、そういった人たちの素晴らしい部分だと思う。
そしてそれは、電気グルーヴも、必ずその一翼を担っていた。少なくとも僕はそう感じていました。
狂ってる、と思うことはたくさんあるけど。
それは例えば、「コンプラ」に触れないように(あるいは触れたことすらネタにするように)体裁を整えてもマスに向けたビジネスとして成立してきた「フリースタイルダンジョン」があるヒップホップ。
あるいは、ある時はしっかりタトゥーを隠し、またある時は服まで脱いでありのままさらけ出し全力を尽くすロックやパンクの界隈の方々。
オーバーグラウンドとアンダーグラウンドは、マナーとエチケットじゃないけど、しっかりと往還出来るはずです。
だから
・欧米のように薬物規制を緩めるべき
・薬物摂取な違法性は認めるけど、本人の過去の功績を消すな
というもの言いには強く違和感を覚えます。
薬物の売買や使用という行為は、社会一般の規範意識から外れている、そしてそれは心身の健康を著しく害するということが医学的にわかっている。
そういった行為の擁護、行為に及んだ人の擁護は相当に勇気と知識が必要だと思います。
そして、そういった違法性の高いものを誘発するような事態が起きないようにする義務もあると思います。別にコカイン大したことなくね、みたいなことにはならないように、
みんなは演者のパーソナリティと作品を切り分けられるかもしれないけど、僕はそうではありません。世の中の人全員がそうなるためには、時間がかかりすぎます。
「出演本数が多いから、放送自粛は良くない」という意見が、「少ない本数ならさっさと自粛してもいい」=「皆から支持されている人気者であればあるほど、犯罪を犯しても相対的に罰が減免される」ということになってはならないんですよ。
少なくとも、犯罪行為に対する罰としてある程度コンセンサスを得られている「刑期」を終えるまでは人目のつかないよう回収などの手立てがなされるべきと考えます。
刑の重さの是非や、カムバック出来るような支援のあり方は、同時並行的に議論されるべきことだし。
そして、さっきの話に戻しますが、これは僕の意見として本気で行って欲しいこと。
それは、特に電気グルーヴなど音楽業界の関係者へちゃんと薬物の検査を行って欲しい、ということです。
少なくともこの国の法規範上薬物の使用が重く規制され、多くの根拠をもって健康上の害が指摘されている中では、「音楽業界」だけの文脈とか歴史をいくら語っても説得には無理があるでしょう。
そして、しっかり「地上」と「地下」を行き来している人が既にいるのだから。
一方で、薬物使用歴のある人が復帰した例も、音楽業界には沢山あります。だから、支援のあり方やノウハウ、何より支援してくれる存在はきっとあるはずだと思うんですね。
だから僕が今願うことは、現段階での過去作の封印はやむなしだから時が来たら改めて解禁をして欲しいということです。
出なけりゃ岡村靖幸を好きになることなんか出来なかったんですから、僕は。
活動復帰への障壁は「犯罪歴」と「依存性」だと思うので。