乾燥した感想「WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」
深夜バスで新宿ついて、朝マック食べて、そのままTOHOシネマズ新宿で見てきました!
結成15年、デビュー10年、「Perfumeすごいぞ芸人」など今年はとりわけ盛り上がっている彼女たちの、ドキュメンタリー映画ですね。
結論から先に言うと、これは本当に最高な作品だと思いますね。・・・って言うのはたぶん僕が比較的Perfumeにのめりこんでることも大きいのですが。
BGMはこれで。
[MV] Perfume 「STAR TRAIN」 - YouTube
過去の記事にもうっすら書いてますけど、Perfumeの初の出会いは2007年ごろ、スカパーの導入し始めのころに初冠番組「パッパッパッパッパッパッPerfume」をチラッと見た事にさかのぼります。確かライブ映像と、チョコレイトディスコPVのメイキングだったかと思いますが、十分すぎるほどすごい映像です。どっかで見れないかな。一方ネットでアイマスのMADとか見まくりつつ地元のTSUTAYAにCDを取り寄せてもらって・・・
でこのころに木村カエラさんに見つかったり、ACのCMでて、サマソニ入場規制にして…みたいなサクセスストーリーは知っての通り、あるいはこれまであちこちで語られてる通りですよね!
でもこの映画で、長い下積みが・・・みたいなことはほっとんど主張されません。一瞬広島時代のレッスン動画が流れるくらい。むしろワールドツアーを1つ1つ、その場のファン全員をしっかり沸かせて帰る様を単調に見せてく映画なんです。
でも…この下積みのときの経験があるから、この海外ツアー中に「次来れるかわからないので(悔いなくがんばろう)」「ここまでこれるとは」みたいな言葉が感謝とともに出てくると思うんですね。
おそらく、色んなドキュメント番組とかでPerfume苦労の歴史的なことは言い尽くしてきたんでしょうね。映画全体としては本当に単調で、ドラマチックなことが起きないんですよね。
公演する街に移動する→ちょっとしたオフを観光したりして満喫する→真剣にリハをする→本場前の会場の様子→スタート直前の気合い入れ→ライブ本番→反省のダメだし会 を5公演分。途中三人のエピソードが入るくらい。
AKBのドキュメンタリーなら多分1公演に一回くらいスタッフさんかたかみなの怒号が飛ぶんでしょうが、そういう起伏はあんまりなし。
例えば、スクリーン映りません!どうしましょう!見たいな時でも3人は「おお…じゃあ、それはそれで…」的なやりとりして「Perfumeの真の力が試されます」というナレーション処理ではい終了。みたいな。
ライムスターの宇多丸さんはここを「真っ当なエンターテイナーの姿勢」と評してましたけど、なんとなーく僕は社会科見学してる気分を感じたんですね。こういう風にコンサートってできあがっていくのかぁという。鉄腕DASH感?というか。
振り付けや演出を手がけるMIKIKOさん、照明やPAさん、舞台監督の内山さん(個人的に、3人差し置いて1番カッコよかった人でして)含め一人一人コンサートの成功目指してあーでもないこーでもない議論して検証して、ライブ終わったら反省して…のっちはホルモンTシャツ着ながらね。
宇多丸さんも言ってたことですけど、曲順変わっただけでマイクを取って回収する段取りが全部変わったり、階段一段増えたりしたらステージレイアウトや移動が変わったり。「ねぇの前曲名言わないほうが良くない?」とか
触れてないとこだと、内山さんが輝いてたのがLAを控えたシンガポール公演の反省会の中で、曲間を開け余韻を残すか繋いでクラブミックスみたいにするかという議論で「アメリカでは、曲の後暗転すると気分がさめちゃう傾向にあるですよね」とズバッと発言。NY公演直前不安がるかしゆか(だった気がする)の背中をぽんぽんとして励ましたり。あれなに目線だこれ。
さて。
どうしてもアイドルのドキュメンタリー映画としてはAKB48のそれと比較してしまいがちですけど。映画としての特徴の違いは、たぶん2組の組織としての構造の違いってことだと僕は見て考えました。
例えばAKBって、涙だの努力だの悔しいだのっていう感情がある種原動力となっている部分あると思うんですけど、はっきり言ってドキュメント見てても「泣いてるのどう考えても運営のお前らが無能なせいだろ」って思っちゃうんですよ。誰かが「残酷ショー」って言いましたけど本当に言い得て妙だとおもう。
AKBは常設の劇場で、チームごとで定期的に公演を行ってますけど、一方でどこまでも個人主義みたいなところって出てきてて。総選挙もそうですけど公演にすら出るのも16人枠の争いだったり番組にも出れるかわかんないし。
あの村の中で競争させる、さらに勝ちあがるためのパイの配分を極限までオープンにすることでオタと推しの目標の同化を図ってると。でも根本的な原動力は、メンバー一人一人の夢だったり目標ですよね。センターになるとか、スターになるとか。そして、震い上がらせるために、「腐ったら負け」みたいなこと言うんすよね。
思えばPerfumeの三人にはそれが見えないんですよ。「言霊」ってPerfume周りにはすごく意味深いものがあって、ずっとそれを思い続ける強さはあれど、あんまりそれを言いすぎないですよね。
最後、事務所の会長の前で泣きながら「マジソンスクエアガーデン2days」って言っちゃいましたけど、多分ダイレクトに目標語ったのはここだけなんじゃないかなぁ。ステージをスタッフとともに作る、そしてそれにより観客まで含めて本当にすごい光景を一緒に見る、「Perfumeが無くなると私じゃ無くなる」って3人口揃えて言ってましたけど、そういった背景もひとつあると思いました。
…僕がしつこくPerfumeとAKBを比較するのって、ぶっちゃけほぼ同じタイミングで大好きになったからなんですけどね。本当に対局だなと。
PerfumeファンはPerfumeの3人をある種崇拝する一方で、「自分たちもPerfumeの一部」みたいな感覚を持ってる気がする。で、例えば48のファンは箱推しでグループのこと大好きでも「自分たちはAKB(もしくは他のグループ)の一部」という感覚はないように思える
— レジー (@regista13) 2015, 9月 27
あとはチーム感でいうなら。バンドでいうとPerfumeはサカナクションでAKBはセカオワ。なんだこの例え。
あとは雑感。
1番面白かった、ロンドン公演でのっちがド派手にやらかした場面
ダメだし会でのっちがツボりながら自分のミスした過程を一つずつ振り返り、「のっち突然前に出てきて立ち位置かぶって焦ったたけぇ、ちょっとずれたよね」的なことをあ〜ちゃんがつっこみ…みたいなのをライブ映像を交えて検証するという。「ダメだし会」を実体験できる素晴らしい仕様。
AKBならたかみながブチ切れてその子泣くんだろうな。で一時間後くらいに完璧に踊ってみせるんだろうな。
あと、ファンの声をインタビューしてるシーンがすごい長かったのも特徴
スカパラのTシャツきてた陽気なロスのお兄ちゃんとか、本当に救われたんですってインタビュー中に泣き出す女性とか。オーストラリアからシンガポールへライブ参戦した老夫婦、待ってる列の横できれっきれダンスを見せる集団、抽選当たってでライブ舞台裏見学してた美味しいレシピ好きのガチ勢など・・・
こういうシーンを見て、「わかるっ!その気持ちスッゲェわかるぜ兄ちゃん!!!」ってなるかならないかは、ちょっとした分岐点かもしれないなと。
そんなことを思って僕は、朝マックで胃もたれした自分に絶望しましたとさ。